日本のテンナンショウ ~近畿編

Arisaema Mart.  Sect. Pistillata   (Araceae) 


Arisaema の第4弾は近畿地方編です。
近畿地方は、各種の分布の東限だったり西限だったりするので、意外と多様性が高かったりしますが、別頁で紹介しているので、本頁はボリュームが少なめです。

そろそろ書くことがなくなってきたので、さっそく写真をあげていきます。

*1 スルガ、ホソバ、ウメガシマ、カントウ、ヒガン、ミミガタはこちらへ→ 関東編
*2 ヤマト、コウライ、ヒロハはこちらへ→ 中部編
*3 マムシグサ、ムサシアブミはこちらへ→ 九州編
*4 マイヅル、ウラシマ、ナンゴクウラシマはこちらへ→ Sect. Flagellarisaema

Arisaema cucullatum M.Hotta

ホロテンナンショウ


近畿地方には小型の種類が多く、どれも映えるのですが、稀少でなかなか出会えないのがたまに瑕ですね。

系統的にはセッピコとかに近いそうです。
まぁ見た目通りでしょう。

この自生地では、思ったより多くの個体に出会うことができました。
スネ夫の髪型のようでいかしています。

ちなみに、種小名の cucullatum は英語の cucullate で、"僧帽のような" という意味になります。

(和歌山県)

Arisaema kishidae Makino ex Nakai
キシダマムシグサ


展葉より早く開花するタイプの種類。
スルッと長い舷部が特徴です。

仏炎苞が何とも言えない薄~い褐色で、ミツバあたりに近いのかな、という印象です。


(和歌山県)

Arisaema nikoense Nakai ssp. australe (M.Hotta) Seriz.

オオミネテンナンショウ


ユモトマムシグサの仏炎苞が紫褐色系になったもの。
カミコウチやハリノキに近い見た目ですが、ふつう葉が2枚です。

伊豆半島、静岡県、紀伊半島と、とびとびに分布しています。
名前のオオミネは、大峰山のことですね。

写真の通り、開花が展葉より早いのも特徴となっています。

(和歌山県)

Arisaema seppikoense Kitam.

セッピコテンナンショウ


幾度となく探しに出かけ、ふられてきた種類でしたが、あるときスルッと見つけることができました。わーい。

小型、一つ葉の系統で、ホロやナギヒロの並びにいます。

かなりガラガラした斜面にかたまっていましたが、開花しているのは2~3個体だけでした。
この個体数で種を維持できるのか、心配になるレベルで少なかったですが、イモのおかげで何とか食いつないでるのでしょうね。

(兵庫県)

Arisaema yamatense (Nakai) Nakai
ムロウテンナンショウ


近畿地方でもっともよく見る Arisaema と言っていいでしょう。
シカ害の酷い当地では、山を歩くとどこでも出会うことになります。

付属体が細く、先端で少しクニャッと曲がるのが特徴です。
仏炎苞はほとんどの個体が緑色で、関東地方のホソバテンナンショウのポジションにいます。


(兵庫県)