日本のテンナンショウ ~ウラシマソウ節

Arisaema Mart.  Sect. Flagellarisaema   (Araceae) 


本項でとり挙げるのは、Arisaema の Sect. Flagellarisaema です。
国内には3種+1変種が記録されています。

節名の Flagell の部分は、英語の Flagellate と同義で、"むちのような" とか "鞭毛のある" とか、そういう意味があります。
これが、本節の特徴である仏炎苞から突出する付属体を指していることは言うまでもないでしょう。

Flagellate と Arisaema を繋げて Flagellarisaema 
う~む、いい名前だ・・・

ちなみに、付属体は英語で appendix といいますので、これを機に覚えておきましょう。


Arisaema heterophyllum Blume

マイヅルテンナンショウ


やや湿った半自然草原に見られます。
国内に見られる Flagellarisaema の中で、最も偽茎が高くなります。
ほぼ全国的に分布していますが、草原のレア化と共に絶賛個体数減少中とのこと。

雄性株と両性株がおり、偽茎の上の方に花をつける個体は両性株なんだそうです。
つまり私が認識していたのは、ぜんぶ両性花ということなんですね・・・反省。

(群馬県)

Arisaema kiushianum Makino
ヒメウラシマソウ


山口県と九州に分布しています。
鹿児島県の自生地では、数個体がまとまって生育していました。

仏炎苞の内側の白色のT字模様がなんともチャーミング。
台湾に分布するナンゴクウラシマソウの亜種、ssp. autumnale によく似ています。


(鹿児島県)

Arisaema thunbergii Blume
ナンゴクウラシマソウ



ウラシマソウの基亜種で、花が小型。小葉もかなり細いです。

分布は近畿以西ですが、九州に多いようです。
また、ウラシマソウのように集団でいるイメージもありません。



(宮崎県)

Arisaema thunbergii Blume 

 ssp. urashima (H.Hara) H.Ohashi et J.Murata
ウラシマソウ


ほぼ日本全国に分布し、もっとも見かける機会の多い Arisaema といっていいでしょう。
盛んに栄養繁殖するので、しばしば大群落を形成していますが、それも夏頃になると、すべてが溶けてしまっています。



(↑神奈川県、↓長野県)